在宅勤務のための費用は会社が負担すべきか?-テレワークにおける費用負担-

1.在宅勤務(テレワーク)が拡大中

コロナ禍で企業での働き方が大きく変化しています。特にここ数年で大きく変わったのは、多くの会社で在宅勤務が認められるようになったことではないでしょうか。しかし、在宅勤務を導入してはみたものの、まだ制度設計が追い付いていない企業が多くみられるのが現状です。今回は、在宅勤務における費用負担に焦点を当てて解説いたします。

 

2.費用負担に関する法律の規定

業務上発生する費用の負担については、労働基準法89条1項5号に規定があります。この規定によると、労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項を就業規則に定めなければならないとされています。

この規定は在宅勤務で発生する費用の負担についても当てはまります。つまり、在宅勤務で発生する費用については、会社が負担するのが原則であり、労働者に負担させることとする場合には、就業規則で定めなければなりません。

 

3.在宅勤務で発生する費用

たとえば以下のような費用が考えられます

・情報通信機器の購入費用

・情報通信機器の維持費用

・通信費用

4.具体的な費用負担の方法について

(1)実費精算

在宅勤務で発生する費用について、実費精算が可能な場合には、会社が実費を負担する方法が考えられます。この場合、会社が負担することとする場合の限度額や、従業員が会社に請求する方法についても予め決めておくことが望ましいです。

通信費用など、従業員のプライベートでの使用と業務での使用を切り分けることが難しい費用については、その費用を計算して実費精算することは現実的ではありませんので、

以下のように在宅勤務手当を支給する方法などが考えられます。

 

(2)在宅勤務手当

通勤手当などと同じように、在宅勤務手当として一定額を支給する方法が考えられます。この場合、当該手当は割増賃金の算定基礎に入れる必要があり、これに伴って割増賃金の算定基礎に係る規定の変更が必要となる場合がありますので、注意が必要です。

 

(3)就業規則での規定例

在宅勤務に関する他の規定については、厚生労働省が公開している「テレワークモデル就業規則〜作成の手引き~」が参考となります。

(費用の負担)

第○条 会社が貸与した情報通信機器を利用する場合の通信費は、会社負担とする

(在宅勤務手当)

第○条 在宅勤務を行う者の負担する通信費用のうち業務負担分として月額○万円を支給する。

5.就業規則を専門家に確認してもらう

就業規則はいざというときに会社を守る盾となります。紛争を未然に防止したり、仮に紛争になったとしても会社の損害を最小限にするためにも、法改正や社会情勢の変化に合わせて就業規則をアップデートしていくことが必要となります。弊所でもコロナ禍を念頭においた就業規則のチェックを行っておりますので、お気軽にご相談ください。