下請法の適用がある場合にどのような法的効果が生じるか?
前回は下請法の適用の有無についてお話をしてきました。
今回は下請法の適用がある場合にどのような法的効果が生じるか、を述べていきます。
(2)親事業者の義務について
下請法の適用がある場合、親事業者は、書面交付義務、支払期日を定める義務、書類の作成・保存義務、遅延利息の支払い義務等を負うことになります。
遅延利息の支払い義務についてですが、給付受領日から起算して60日を経過した日から実際に支払いをする日までの期間についてその日数に応じて未払い額に年14.6%を乗じた金額の遅延利息を支払うというものですから、遅延利息だけでも多額になります。
(3)親事業者の禁止事項について
親事業者は以下の行為を禁止されます。
・受領拒否:下請事業者に責任がないにもかかわらず、給付の受領を拒むこと
・下請代金の支払遅延: 支払代金を、支払期日までに支払わないこと
・下請代金の減額:親事業者が下請事業者の責めに帰すべき事由がないのに発注時に定めた下請代金の減額をすること
※下請代金の額を減ずることの例として、新単価遡及適用、消費税分の不払い、販売拡大のために協力してほしいとの名目を点けて下請け代金の何%かを下請代金の額から差し引くことが挙げられます。
・返品の禁止:責めに帰すべき事由がないのに受領後、下請事業者に引き取らせること
・買いたたきの禁止:通常支払われる対価に比べ著しく低い下請代金の額を不当に定めること。
・購入利用強制・役務の利用強制の禁止:自己の指定する物を強制して購入させ、又は役務を強制して利用させること。
・報復措置の禁止:中小企業庁又は公正取引委員会に対し、禁止行為を行ったことを知らせたとして、取引を停止するなど不利益な取扱いをすること。
・有償支給原材料の対価の早期決済の禁止:有償支給原材料等を自己から購入させた場合、支払期日より早い時期に支払わせること。
・割引困難な手形の交付禁止:支払期日までに一般の金融機関で割引を受けることが困難な手形を交付すること。
・不当な経済上の利益の提供要請の禁止:自己のために、金銭、役務などの経済上の利益を提供させること。
・不当な給付内容の変更・やり直しの禁止:下請事業者に責任がないにもかかわらず、給付の内容を変更させたり、給付をやり直させること。
以上の禁止行為に違反した場合には、違反に対する措置として、公正取引委員会は親事業者等に対する調査権限を有します。
そして、違反行為に対する手続きとしては、
・親事業者に違反行為を改善するよう勧告や指導等の措置
・勧告時には違反事業者や違反事実の概要等の公表
・親事業者が公正取引委員会の勧告に従わない場合には独占禁止法に基づく排除措置命令や課徴金納付命令
・3条書面の交付義務違反、5条書面の作成・保存義務違反、報告徴収に対する報告の拒否、虚偽報告、立ち入り検査の拒否・妨害等の場合には罰則(違反行為者である親事業者の代表者や従業員のほか企業である法人も対象となります。罰金は50万円以下)
が挙げられます。
前回から引き続き、下請法の概要について述べてきました。
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