整骨院 ~管理医療機器の広告表示について~
接骨院・整骨院が施術にあたり導入する機器の中には「管理医療機器(薬機法2条6項)」に該当するものも少なくありません。導入にあたり注意すべきこととして、その広告表示には各種規制があるということが挙げられます。
これらの導入にあたり、接骨院が注意することは何かについて今回は説明をしています。
1 柔道整復師法上はどのような制限があるか?
一般論として、柔道整復師法24条には以下の通り、広告に関する規制があります。
もっとも、現状においてWeb広告はその情報を検索する特定の人間のみが閲覧する状態であることから、同法上の広告には該当せず、これを規制する法令が事実上ない状態とされています。
国の検討会ではWeb広告についても柔道整復師法24条と同様の規制を課す方向で検討しているとのことですので、同内容の規制が今後課される可能性は高いと思われます。
(参照法令)柔道整復師法
第24条 柔道整復の業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。
① 柔道整復師である旨並びにその氏名及び住所
② 施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
③ 施術日又は施術時間
④ その他厚生大臣が指定する事項(※)
2 前項第一号及び第二号に掲げる事項について広告をする場合においても、その内容は、柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない。
2 薬機法や景表法上の制約について
「管理医療機器(薬機法2条6項)」の場合には、その認証を経た範囲での効能効果の広告しかできず、認証された内容を超えて虚偽又は誇大な広告はできません(薬機法66条1項)。医学的な効果効能について疑問が残る状態で、その効能をうたった表現をしてしまった場合には、薬機法上の虚偽・誇大広告(薬機法66条1項)や、景品表示法上の不当表示等(景表法5条)として問題になり、同法違反になり得ます。
薬機法66条に違反した場合には同法85条4項による刑事罰の対象となります。
また、景表法5条違反の場合には、同法上の措置命令(7条1項)の対象になり、上記命令に違反した場合に刑事罰(36条1項)の適用がありますし、課徴金納付命令(8条1項)の対象になります(売上額の3%が基本となります)。
(参照法令)薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
第八十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(略)
四 第六十六条第一項又は第三項の規定に違反した者
五 第六十八条の規定に違反した者
景表法(景品表示法)
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。一商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
3 厚生労働省による広告ガイドラインについて
上述の通り、現時点でウェブサイトは柔道整復師法の規制対象とはなっておりませんが、今後、厚生労働省によって広告ガイドラインが策定される予定となっており、ウェブサイトの記載について自主的な取り組みを促すこととされています。
※厚生労働省の広告ガイドライン(案)
https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000510988.pdf
この広告ガイドライン案を参照しますと、インターネット上のウェブサイト等について、「内容が誇大なもの又は施術所にとって都合が良い情報等の過度な強調を示すもの」「科学的な根拠が乏しい情報に基づき、利用者の不安を過度にあおるなどして、施術所に不当に誘導するもの」等について、掲載すべきでない事項として掲げられていますので注意が必要です。
今回は、管理医療機器における広告についてお話してきました。
管理医療機器を導入を考えている接骨院・整骨院の皆様、広告表示には各種法規制があります。弊所は接骨院様・整骨院様からのご相談も多く受けている実績があります。
ぜひ一度弊所へご相談ください。
監修者:弁護士 伊藤一星(弁護士法人宇都宮東法律事務所 代表弁護士) 「誰でも気軽にリーガルサービスの提供を受けられる社会」を実現し、地域社会に貢献できる法律事務所を目指して弁護士法人宇都宮東法律事務所を設立。 |