契約書におけるリーガルチェックの必要性とは?|チェックの流れと弁護士に依頼するメリットを解説

契約書は、契約内容を保証し、トラブルが発生した際に自社の損害を抑える役割を担います。これらの役割を適切に果たしてもらうためには、内容に不備が無いかどうかチェックする必要がありますが、チェックの方法や注意すべき事項に関して不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、契約書のリーガルチェックを行うべき理由やリーガルチェックの流れに関して解説します。

契約書のリーガルチェックとは

まず、契約書のリーガルチェックとは、契約を締結する前に契約書の内容を法的な観点からチェックすることです。

契約に関する権利義務関係を正確に定め、安心して取引ができるようにすると同時に、自社のリスクを最小限化することを目的として行います。契約書のチェック過程に不備があると、思わぬトラブルを発生させ会社に大きな損害を与えかねません。

一方で、リーガルチェックを行うためには専門的な法律に関わる知見が必要なため、現場レベルの社員が行うべきではありません。

法的観点と取引事情の両方を踏まえつつ、契約書に問題がないかを確認するリーガルチェックは、契約の安全性や自社の信用を守るために重要な過程です。

契約書のリーガルチェックを行うべき理由

1.トラブル時のリスクを未然に減らすことができる

契約書のリーガルチェックは、トラブル発生時のリスクを事前に抑えるために行います。

契約書の文言や権利関係の規定にあいまいな表現があると、当事者間に認識の相違が生まれてしまいます。相手方に有利な条項が盛り込まれていることもあるでしょう。

用語や規定の正確性と、自社にとって不利な内容がないことを確認することで、トラブルを事前に防がなければなりません。

また、トラブルが発生した時のリスク(損害賠償等)を、最小限に抑えるための予防策が記載できていることを確認することも重要です。

確認漏れにより自社に思わぬ損害を発生させないように、リーガルチェックによって内容を精査していく必要があります。

2.契約内容を保証することができる

契約書は、取引の実情に即した内容が定められていなければなりませんが、口頭で合意した内容が含まれていないといった、実情と相違が生じるケースは珍しくありません。しかし、実際に行いたい契約と、契約書の規定に相違があるまま契約を締結してしまうと、想定していた取引を満足に行えない結果になる可能性があります。

また、法的な問題点の指摘だけでなく、業界の実態や自社の実情を踏まえて契約書の内容が取引の実情に合致していることをチェックすることも必要です。

3.法令違反や無効契約を避けることができる

契約書に違法や無効となる内容が無いかをチェックする必要があります。

法改正が行われることもあるため、最新の情報に即した内容でなければ法令違反となりかねません。また、強行法規(法令が強制的に優先して適用される規定)に違反する契約条項は無効となってしまいます。

契約が法令違反や無効となってしまうと、相手とのトラブルは避けられません。さらに、自社の社会的な信用も落としてしまう可能性が高いです。

違法内容や無効事項は見落としてしまうと大きなリスクにつながるため、必ず契約前にリーガルチェックを行わなければなりません。

契約書のリーガルチェックを行う流れ

1.弁護士に依頼する場合

弁護士に依頼してリーガルチェックを行う場合は、以下のような流れとなることが多いです。

・チェックしてほしい契約書を作成・準備する

・取引に関する情報や会社情報を整理して提出する

・弁護士からフィードバックを受ける

・相手方と内容の交渉を行う

・契約を締結する

弁護士に依頼する際の懸念点としては費用の問題があげられるでしょう。

1件当たりの相場は、契約の複雑さや内容によって異なることに注意が必要です。

2.自社内の法務部で行う場合

自社内で法務担当者がリーガルチェックを行う場合の流れは、以下のようになります。

・法務担当者がリーガルチェックを受け付ける

・契約内容を把握し、修正点を洗い出す

・担当部署へフィードバックする

・相手方と内容の交渉を行う

・契約を締結する

なお、自社内の法務部だけでチェックを完結させる場合もありますが、法務社員が一次チェックを行い、必要に応じて弁護士に二次チェックを依頼することも有効です。

特に、新しいタイプの契約や、相手方から提出された契約書については、外部の弁護士にチェックしてもらうと安心できます。

3.AIを利用する場合

近年では、契約書のリーガルチェックにAIを用いるサービスも提供されるようになりました。

過去の取引や会社情報をあらかじめ読み込んでおけば、AIが契約書を精査してくれます。そのため、労力や費用の大幅カットを図れる点が魅力といえます。

ただし、AIは多様な業界業種のすべての契約書に対応しているわけではありません。サービスやプランによっては対応できないケースもあることに注意が必要です。

また、法律知識がまったく無い状態でAIにリーガルチェックを任せてしまうのは危険といえます。本当に修正結果が正しいかどうかを判断するのは人間であることを忘れないようにしましょう。

契約書のリーガルチェックを弁護士に依頼するメリット

1.現行法に即した内容にすることが可能

法律の専門家である弁護士に依頼することで、契約書の審査に確実性が担保されます。日常的に法に携わっているため、迅速かつ適切にチェックすることができ、修正の不備等のリスクを減らすことが可能となります。過去の裁判例や最新の法改正といった専門知識を駆使して契約書を精査する作業を、自社内で行うことは容易ではありません。

契約書のトラブルは時に大きな損害を引き起こすため、リスク回避のために弁護士への依頼は有効です。

2.トラブルの発生を予防する内容にすることが可能

弁護士は労使トラブルの対応を行っているため、訴訟の対応はもちろん、トラブルの原因を熟知しています。したがって、予めトラブルに発展しないような内容にすることができ、企業を守る契約書を使用することが可能となります。

3.トラブル発生時の迅速な対応が可能

もし契約書の内容についてトラブルが発生した場合でも、弁護士に依頼をしていれば余計な負担を自社で負わずに済むでしょう。弁護士が紛争時に必要な手続きや対応策の検討をサポートしてくれます。契約書の内容を事前に把握しているため、トラブルが発生した時に事情をすべて説明する手間が無く、スムーズに対応できることが利点です。

おわりに

契約書のリーガルチェックの必要性と、リーガルチェックは弁護士に依頼する必要性に関してお伝えさせていただきました。記載内容が適切な契約書であれば、クライアントの契約内容を保証し、トラブルに発展した際の損害を減らすことが可能であり、それを迅速かつ最適な内容で作成することができるのが弁護士です。

契約書や契約トラブルに関して、お困りごとがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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