有給休暇の買い取りについて

 有給休暇の買い取りについて、会社様からご相談を受けることがあります。今日はこの点についてお話していきたいと思います。

 まず、年休権を取得できる期間内に年休権を買い取ることは労基法39条1項に反してできないとされています。
 しかしながら、時効(年休の時効は2年)や退職によって年休権が消滅した際には労働者の不利にならず、むしろ消滅した年休を金銭に代えられる有利な取扱のため労基法に抵触せず有効とされています。
 そして、どのような条件で(買い取る範囲や買い取り金額)については、労基法上は特段の規制が設けられていないため、原則として就業規則や個別合意によりますが、買い取り金額が年休権を行使した際に支払われる賃金を大きく上回る高額の場合には労働者を年金の金銭化に誘導するおそれがあり、事実上取得を阻害する効果となるため、望ましくないと思われます。

 なお、なるべく年休は期間内に消化させるのが基本であり、買い上げよりは年休を取得させる方向で管理すべきと考えられます。

 企業によっては有給を買い取りすることが慣習となっていることもあると思いますが、年休は期間内に消化させることが原則と考えられますので、この点はご留意ください。

 2019年4月1日以降の有給付与日から年5日の有給付与義務が法律で定められました。就業規則上使用者有給指定義務を定めることや、有給管理簿の整備等が求められますので、この点もあわせて留意いただければと思います。

 当事務所では労務管理についてのご相談についても顧問サービスの範囲内で弁護士が適切にアドバイス致します。
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