ハラスメントについて その4(ハラスメント予防策)
今回でハラスメントについては最終回になります。
ハラスメントを予防するために必要な予防策についてお話していきます。
法律上、事業主の責務として、
事業主は、職場におけるパワーハラスメントを行ってはならないことその他職場におけるパワーハラスメントに起因する問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる同条第1項の広報活動、啓発活動その他の措置に協力するように努めなければならない
とされています。
なお、職場におけるパワーハラスメントに起因する問題としては、例えば、労働者の意欲の低下などによる職場環境の悪化や職場全体の生産性の低下、労働者の健康状態の悪化、休職や退職などにつながり得ること、これらに伴う経営的な損失等が考えられます。
また、事業主は、自らも、パワーハラスメント問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければなりません。
まずは、
・社員全員がどういった行為がハラスメント行為に当たるのかを理解すること
・定期的にハラスメントについての講習を行う
・ディスカッションの場を設けて緊張感を継続すること
・相談窓口を利用すること(弁護士事務所、社労士事務所等)
が重要です。
そして、事業主が講ずる対応策の案としては
①事業主の方針等の明確化、周知・啓発(ハラスメントの内容・方針の明確化、周知・啓発・行為者への対処方針・対処内容の就業規則等への規定、周知・啓発)
②相談等に適切に対応するために必要な体制の整備(相談窓口の設置・相談窓口の担当者による適切な相談対応の確保・他のハラスメントと一体的に対応できる体制の整備)
が挙げられます。
そして、パワーハラスメントの予防・解決のための7つのポイントは以下のとおりです。
①企業トップのメッセージの発信
②社内でルールを決める
③社内アンケートなどで実態を把握する
④役員や職員に教育や研修をする
⑤職場での周知・啓蒙をする
⑥相談や解決の場を設置する
⑦再発防止のための取り組みを行う
ハラスメント問題は、加害者には経済的な苦痛を、被害者には精神的・経済的な苦痛を与えます。予防するにはハラスメントに対する知識を深め、社員同士緊張感をもって接することが重要です。裏を返せば、ハラスメントに関する知識を深めることで従業員全員が、一層のパフォーマンスを発揮することができ、また気持ちよく働くことができる環境づくりにつながります。
当事務所ではハラスメント予防から、実際に生じてしまった場合の事後対応まで弁護士が法的なアドバイス等を行うことが可能です。ハラスメント問題でお困りの企業の皆様、ぜひ当事務所の顧問サービスをご利用ください。